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合田佐和子「パンドラ」

 2008-11-08
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ダウンジャケットを着て外に出た。寒い、もう冬か。

用事を済ませ、家に帰る。

先日届いたダンボールにくるまれた荷物。サインには「貴重書」の文字。出てきたのが、合田佐和子「パンドラ」だ。

どうでもよいことだが、一応文字にしておく。「社会人になってよかったと思うのは本が買えるようになったことである」。

さて、合田佐和子「パンドラ」を見る。パンドラとはギリシャ神話に登場する女だそう。「一説によると人類最初の女性である」とウィキペディアにそうある。

神々はパンドラに箱を与えた。「決してあけてはいけない」と。しかし、パンドラは開けてしまった。


ずいぶん前になるが、松涛美術館で見た合田佐和子展は衝撃だった。まるでパンドラの箱の中に舞い込んだかのようだった。

アメリカの美しい女優の目の輝きを描いた絵画たち。巨大なキャンパス、小さいキャンパス。無数の「目」があった。目は美しかった。目とはなんだろう。目を見るぼくの目は、なぜ目に引き寄せられるのだろう。そればかりが気になっていたが、針金や釘やビン、なんだか分からないガラクタを寄せ集めた「ジャンクアート」を何点も見ているうちに、さっきあれほど美しい目を描いていた合田佐和子とは一体何者なんだと困惑してきたことを覚えている。

途中、2階のパネルに合田佐和子の年表があった。ある一点に「エジプトにてインスピレーションを受けた」とあった。それにインスピレーションを受けたのはぼくだった。

頭に浮かんだのは埃っぽい大地に立つスフィンクスと謎の建築物ピラミッド。その合間から現れる合田佐和子。彼女の顔はきっとあのファラオの仮面のような顔をした女だと、神を思う気持ちになって、静かで暗い松涛美術館が崇高で不気味な館に感じた。

箱を開けたパンドラはどうなったか。ウィキペディディアによると、箱から「疫病、悲嘆、欠乏、犯罪」などが飛び出したそうだ。こりゃたまらん。が、パンドラは急いで閉めた。その中に残ったものは、「希望」、かもしれないという。
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