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麻布のさる山
2008-04-23

麻布のポワンタージュでサンドイッチを食べ終わった後、白いうつわしか売っていない「さる山」というギャラリーに行った。
実際には、白いうつわだけでなく、黒いうつわと古いうつわも置いてあるが、それよりも何かただならぬ雰囲気を持った空間であった。今振り返ってみると、荘厳なクラシックが流れ、すみずみまで美意識が行き渡った完全なる空間だった。
ある記事の中でインタビュアーは、オーナーの猿山さんに、「デザイナーと演奏家とうつわ屋の3つもやっていてすごいですね」という質問をした。
彼は、「どれか1つじゃ食えないですから」と答えた。
隙を見せない完全な美のような答えを期待したが、それとは裏腹で実に人間臭かった。好感が持てる人だと感じた。
食えないのはウソかもしれないし、本当かもしれない。でもその回答の中に、自信と喜びがにじんでいる、と思った。そういう人が作るギャラリーが一番楽しい。
さる山はぼくが行ったことがあるギャラリーの中でも、きつい美意識でぎゅっと引き締められている。空気を含めて、すべてが整頓されている。
ものは決してぼくたちに媚を売らない。選ばれるのを待っているようで、拒否するような。あなたに美意識があるかと、試されているような錯覚さえ。
古びた棚からそっと取り出してみた。無釉のしろいうつわだった。きゅっとしまった腰から上方へ向かって反りあがるフォルム。見た目に反してざらっとした手触りがむしろ官能的だった。
